【理学療法士が解説】 肉離れを早く治す、効果的なリハビリテーションとは?
スポーツ中に、足に強い痛みを伴い動けなくなる。もしかしたらそれは、肉離れかもしれません。そんな時、「痛みが中々引かない・・・」「いつ復帰出来るかな・・・」と不安になったことはありませんか。
肉離れは、治る段階によって正しい治療が変わります。間違った治療は、治りが遅くなるだけでなく、その後のスポーツでの身体の動きも悪くする可能性があります。また、再発の危険性につながります。
正しい応急処置とリハビリは筋力の回復を促し、肉離れの再発も予防します。ここでは、肉離れとはどんなものか、早く回復のための効果的なリハビリを紹介します。
肉離れの定義と原因
肉離れは、筋肉に急激な強い力が加わることで、筋肉の一部に損傷をきたした状態です。損傷部位から筋肉と筋肉の間の損傷、筋肉内の損傷にわかれる。損傷の程度から軽度・中等度・重度に分類されます。
原因は、強い力が加わりやすいスポーツ(サッカー、ラグビー、バスケットボールなど)であり、競技によって損傷しやすい部位は異なります。
運動のし始めに起こりやすく、4~6月に多いため、運動シーズン開始との関連性があると言われています。
肉離れの症状
肉離れの症状は、損傷部位の皮膚がへこむ、痛み、筋肉内の出血などです。肉離れの程度が軽ければ、損傷した部位を押すと痛い程度ですが、重度になると、筋肉を動かせず、上手く歩けないこともあります。
肉離れが起きやすい部位
スポーツの種類により起きやすい部位が異なります。
- 陸上競技、サッカー、ラグビー:ハムストリングス(太ももの裏)
- バレー、バスケット:大腿四頭筋(太ももの前)
- テニス:腓腹筋(ふくらはぎ)
どのスポーツで、どの部位を痛めたのかを確認することで、肉離れを疑う助けになります。
肉離れからの回復経過
肉離れからの回復には、急性期、亜急性期、スポーツ復帰期の3つの段階があります。段階によって、対応やリハビリ内容が変わります。
急性期:RICE処置
早く治すためには、受傷後2日~1週間は、炎症が強い時期であり、徹底した初期治療RICE処置が必要です。
RICEは、rest(安静)、icing(冷却)、compression(圧迫)、elevation(挙上)の頭文字からなります。この時期には、患部をあまり動かさず、安静にして下さい。アイシングなどで冷却をし、テーピングなどで圧迫します。患部を高い位置に上げておきます。
冷却は痛みの感覚が軽くなるくらいの時間で、1回20~30分で行います。
亜急性期:リハビリ(軽負荷)
急性期を過ぎて痛みが落ち着いてきた段階では、痛みがない範囲での運動を取り入れます。筋肉を動かす軽い筋トレやストレッチなどの機能を回復させるリハビリを開始します。
スポーツ復帰期:リハビリ(中等度~高負荷)
軽負荷のリハビリで症状の改善と機能の回復が進んでくれば、スポーツへの復帰へ向けて、負荷が高いリハビリへ移行していきます。
ジョギングから開始し、痛みを確認しながら、スピードや距離を徐々に増加させていきます。最終的には、ダッシュやストップ、方向転換など、競技に合わせた動作を練習していき、筋力や柔軟性が十分となれば競技復帰となります。
肉離れの効果的なリハビリ
次にリハビリの内容について解説します。間違ったリハビリは、回復を妨げるだけでなく、症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。リハビリの内容は、①機能回復のためのエクさサイズと、②競技前などに行う再発予防に分かれます。
① 機能回復のためのエクササイズ
急性期に安静にしていると、筋力や柔軟性が低下してしまうため、機能回復のためのエクササイズが必要となります。エクササイズは、筋力訓練とストレッチに分かれます。それぞれのやり方について以下で説明します。
筋力訓練:損傷している筋肉に痛みがない範囲で動かしていきます。まずは、何も抵抗がない状態で行い、徐々に体重やチューブなどで抵抗をかけながら行います。
ストレッチ:損傷している筋肉に痛みがない範囲までセルフストレッチングをします。反動をつけるようなストレッチではなく、反動を用いない静的ストレッチが有効です。ほどよく伸びるところで20~30秒止めて元に戻る、これを3~5回繰り返します。
筋力訓練、ストレッチどちらにも共通することは、痛みがない範囲で行うことが重要です。痛みを我慢しながら行うことは、機能の改善に有効ではなく、むしろ早く治すことを妨げます。
② 再発予防
肉離れは再発しやすいとされるため、競技に復帰後には、再発予防が大切です。完治してからも運動前後のストレッチを継続しましょう。
運動前のストレッチには、準備運動として、少し反動を使うような動的ストレッチ、運動後にはクールダウンとして、反動を使わない静的ストレッチを行いましょう。
肉離れに対する筋力訓練メニュー
痛みがなくなり、損傷した筋を動かしても痛みがなくなった段階で本格的に筋力回復・向上を目指して、筋力訓練をします。
まずは、自重を用いながら行い、負荷に慣れたら、チューブやマシンなどで負荷をかけていきます。軽度~中等度の負荷となりますので、亜急性期~スポーツ復帰期が対象です。部位ごとの自重、チューブでのエクササイズを紹介していきます。
太ももの前の運動
➀ 膝伸ばし
ポイント
- しっかり伸ばしきる
- つま先を上げておく
- ゆっくりおろす
②スクワット
ポイント
- 3~4秒かけてゆっくりとしゃがむ
- 太ももが床と平行になるまでしゃがむ
- 膝がつま先より前に出ないように、お尻を後ろに突き出す意識で行う
➂ スクワット(チューブ)
ポイント
自分に合った軽すぎず重すぎない強さのバンドを使う太ももの裏の運動
レッグカール (チューブ)
ポイント
- 自分に合った軽すぎず重すぎない強さのバンドを使う。
- きつい場合、最初はチューブなしで行っても大丈夫。
ふくらはぎの運動
➀両足カーフレイズ
ポイント
- 壁やテーブルを手で支えてバランスを補助する
- 両足の踵を上げる
- ゆっくりおろして踵が付く前に上げる
②カーフレイズ(チューブ)
ポイント
- 自分に合った強さのバンドを選ぶ
- つま先をしっかり伸ばしきる
- ゆっくり戻す
チューブを使ったトレーニングの注意点
チューブを使った筋力訓練を紹介しましたが、注意点があります。
トレーニングチューブは使い続けることや、使わずにいてもゴム素材そのもの経年劣化が生じます。ゴムが硬くなったり亀裂が入ったりすることで、トレーニング時にいきなり切れてしまうと、ケガの原因になることもあります。そのため、トレーニングチューブは出来るだけ丈夫な物を選ぶ方がよいです。
VRTXバンドは、ゴム製チューブのように突然断裂することがないポリエステルとラテックス・ゴム素材を使用しています。そのため、切れることを心配せず、高負荷での訓練も可能です。
強度が7段階(1~91kgまで)に分かれているため、回復期~スポーツ復帰期、復帰後の継続した筋力訓練まで幅広く対応出来ます。
米特許取得の新感覚素材を採用。切れにくく、肌に優しい。安全性と快適性を実現。
◉「VRTX BAND」の選ばれる理由- 肌触り良く、切れる心配なし: 米特許取得の新感覚素材を使用。切れにくく肌に優しい。ゴムチューブの劣化や肌への問題を解消し、トレーニング初心者でも安全かつ快適に利用可能。
- 使い勝手良いが7段階ループの形状: 引っ掛けやすいループ形状なので、ストレッチと筋トレ、両方活用可能。掴むところによって長さ・負荷を簡単に調整可能。
- トレーニング動画100本以上を公開: 各領域のトレーナーが使用方法を紹介する動画を100本以上公開中。筋力トレーニングに限らず、ストレッチや競技パフォーマンス向上にも活用可能。
まとめ
肉離れは、スポーツで起こりやすい筋の損傷です。急性期・回復期・スポーツ復帰期でそれぞれ対応が異なります。回復期・スポーツ期には、痛みの改善に合わせて、機能回復のためのストレッチと筋力訓練が大切です。復帰後には、再発予防ためにウォーミングアップとクールダウンが重要です。
筋力訓練は、自重で行う軽負荷なメニューから、じょじょに重錘やチューブを用いた抵抗をかけた中等度~高負荷のメニューへ移行し、ジャンプやダッシュなどの動作訓練も取り入れていきます。
肉離れを早く治し、再発させないためには、自己判断せず、医療機関で専門家の指導を受けながらのリハビリが必要です。