野球肘のストレッチと予防法:痛みを和らげ、再発を防ぐコツ
野球は人気のスポーツのひとつですが、その一方で肘の痛みに悩まされる選手も少なくありません。特に「野球肘」と呼ばれる障害は、投球動作の繰り返しによって発症し、選手生命に大きな影響を与えます。
野球肘は、適切なケアとトレーニングを行うことで予防と改善が可能です。しかし、そのためには野球肘の正しい知識と対処法を身につける必要があります。
本記事では、野球肘の原因や症状、効果的なストレッチや筋力トレーニングの方法、さらには予防のためのアドバイスについて詳しく解説しますので、選手はもちろん、指導者や選手のご家族の方の参考になれば幸いです。
野球肘とは?
野球肘は投球動作の反復によって引き起こされる肘の障害の総称で、代表的な疾患は以下のような疾患があります。
- 外側が痛い:上腕骨小頭離断性骨軟骨炎
- 後ろが痛い:肘頭骨端線離開、肘頭疲労骨折
- 内側が痛い:上腕骨内側上顆裂離骨折、肘内側側副靭帯損傷
野球肘は痛みがある部位や年代により病態が異なるため、検査結果に基づいた医師の診断のもと、治療を行っていくことが重要です。
野球肘の原因
野球肘の主な原因は、投球動作の繰り返しによる肘への過度な負担です。
- 投球動作では、肘周囲の骨や靭帯、筋肉に大きな力がかかる
- 同じ動作を繰り返すことで、組織に微細な損傷が蓄積していく
- 損傷が修復される前に投球を続けると、炎症や痛みが生じる
特に成長期の選手は骨と靭帯のバランスが不安定なため、障害を受けやすい傾向があります。また過度な投球数や不適切な投球フォームも、野球肘を発症する原因のひとつです。
野球肘の症状
野球肘の代表的な症状は、肘の内側の痛みや違和感です。
- 肘の内側に鈍い痛みや圧痛を感じる
- 投球時や肘を曲げ伸ばしする動作で痛みが増強する
- 肘の腫れや可動域制限を伴う場合もある
- 重症化すると、投球動作が困難になる
痛みの部位や程度は個人差がありますが、症状が悪化すると日常生活にも支障をきたす可能性があります。適切な治療とリハビリテーションを行うことで、野球肘の悪化を防ぎ、スムーズな競技復帰が可能となりますので、痛みを我慢せず、早期に専門家に相談するようにしましょう。
野球肘のストレッチ方法
野球肘の痛みを和らげ、再発を防ぐには、適切なストレッチを行うことが大切です。
また野球肘であるからといって、肘周りのストレッチのみでいいわけではなく、肩や体幹、股関節のあたりもしっかりとストレッチを行う必要があります。ここでは、野球肘に効果的なストレッチの方法をいくつか紹介します。
手首と肘のストレッチ
手首と肘のストレッチでは、円回内筋や手根屈筋群の柔軟性を高めて、肘を完全に伸ばす可動域を保つことが重要です。
繰り返される投球負荷に伴って、円回内筋や手根屈筋群は滑走不全や過緊張を生じやすく、しばしば肘の可動域制限の原因となります。
1. 手根屈筋のストレッチ(動画 01:12〜)
ポイント
- 筋肉の滑りを良くするようなイメージ
- 場所を変えながら念入りに行う
2. 円回内筋のストレッチ(動画 06:56〜)
ポイント
肘の曲げ伸ばしはしっかりと行う3. 肩周りのストレッチ
肩で特に柔軟性を高めておきたいのは、棘下筋や小円筋などを含む肩の後方にある筋肉です。
肩の後方の筋肉の硬さは「後方タイトネス」と呼ばれ、後方タイトネスが生じると肘が外反する方向へストレスがかかりやすくなってしまいます。
4. クロスボディ(水平内転)ストレッチ(動画 00:17〜)
ポイント
- 心地よい範囲で行う
- 手首が肘よりも上がりすぎないようにする
5. スリーパーストレッチ(動画 00:00〜)
ポイント
肩の後ろが伸びる感じがない場合は、肘を置く位置をずらして、後ろ側が伸びる位置を探す6. 体幹と股関節のストレッチ
投球動作は、下半身から上半身へのエネルギー伝達を行う全身運動であるため、体幹や股関節の柔軟性を高めておくことは重要です。
股関節ストレッチ(動画 00:00〜)
ポイント
特に股関節内旋の可動域を意識する野球肘の筋トレと予防エクササイズ
野球肘の症状軽減と予防には、肘周辺の筋力強化と体幹や股関節の安定性を高めるエクササイズが効果的です。ここでは、手首や前腕の筋トレ、握力強化、体幹と股関節のエクササイズについて紹介します。
1. 手首と前腕の筋トレ(動画 02:30〜)
ポイント
- 重りの部分を指で浅く持つ
- 指は膨らみにかけず、重りの横から持つ
- 特に小指側を強化することを意識する
2. 体幹と股関節のエクササイズ
(1) 体幹回旋エクササイズ (動画 00:00〜)
ポイント
- 腰が反りすぎないように注意する
- 呼吸を止めないようにする
(2) 股関節回旋エクササイズ(動画 00:00〜)
ポイント
- 可動域が出ない場合はチューブの負荷を下げる
- 腰が反りすぎないように注意する
野球肘のストレッチと筋トレを効果的に行うコツ
野球肘のストレッチと筋力トレーニングを効果的に行うには、正しい方法と注意点を理解することが大切です。ここでは、ストレッチ時の肢位やトレーニングチューブの使用法、適切な頻度と時間について説明します。
1. ストレッチ時の正しい肢位と注意点
ストレッチを行う際は、正しい肢位で行うことが重要です。
- ストレッチ時は、肘や手首に過度な負担がかからないよう、ゆっくりと動作を行う
- 痛みを感じる場合は、無理せず痛みのない範囲で行う
- ストレッチ前後には、軽いウォームアップとクールダウンを行う
また、ストレッチは呼吸に合わせてリラックスしながら行うことで、効果的に筋肉の柔軟性を高めることができます。
2. ストレッチと筋トレの頻度と時間
ストレッチと筋力トレーニングは、適切な頻度と時間で行うことが重要です。
- ストレッチは、1日1〜2回、各部位15〜30秒間を目安に行う
- 筋力トレーニングは、1部位あたり週2〜3回を目安に行う
- 体調や痛みの状態に合わせて、頻度や時間を調整する
無理なく継続することが、野球肘の予防とパフォーマンスの向上につながります。またストレッチと筋トレは、試合や練習前後に行うことで、効果的に体のコンディションを整えることができます。
野球肘のストレッチと筋トレを効果的に行うには、正しい方法と注意点を理解し、適切な頻度と時間で継続することが大切です。疑問や不安がある場合は、コーチや専門家にアドバイスを求め、安全で効果的なトレーニングを心がけましょう。
3. トレーニングチューブを使う際の注意点
チューブを使用することで効果的な運動が行えますが、注意点が2つあります。
まず1つ目は自分の負荷にあったチューブを使用するという点です。ダンベルと一緒で、重すぎても軽すぎても効果的なトレーニングとはなりにくいので、可能であれば複数の硬さを試してみるとよいでしょう。
つぎに2つ目はチューブの破損に注意することです。常に素材も進化していますが、それでも時間の経過とともに劣化は免れません。トレーニングの前後にはチューブの状態をチェックするようにしましょう。
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米特許取得の新感覚素材を採用。切れにくく、肌に優しい。安全性と快適性を実現。
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また、VRTXバンドは7段階の強度(1キロから91キロまで)を提供しています。初心者の方でも適切な負荷でトレーニングができ、進捗に合わせて徐々に強度を上げることができます。
野球肘の再発を防ぐ日常ケアとアドバイス
野球肘の再発を防ぐためには、日常的なケアとアドバイスを守ることが大切です。ここでは、投球フォームの見直しや競技復帰のコツについて説明します。
投球フォームの見直しとアドバイス
正しい投球フォームを身につけることは、野球肘の再発防止に不可欠です。
- 体重移動や腕の振りなど、基本的な投球メカニズムを理解する
- 無理のない自然な動作で、全身を使って投球する
- 肘や手首に負担がかからないよう、リリースポイントを意識する
コーチや専門家に投球フォームをチェックしてもらい、改善点があれば修正しましょう。また疲労が蓄積している時は無理せず、十分な休養を取ることも大切です。
野球肘の回復期間
野球肘の回復期間は個人差がありますが、適切なケアを行うことで順調に競技復帰できます。
- 医師の指示に従い、必要な期間は投球を控える
- 痛みが引いても、急激な投球数の増加は避ける
- ストレッチや筋力トレーニングを継続し、肘周辺の柔軟性と強度を維持する
- 投球再開時は、短い距離から徐々に距離を伸ばしていく
競技復帰後も定期的なメンテナンスを行い、コンディションの管理に努めることが大切です。痛みや違和感がある場合は、我慢せずに専門家に相談しましょう。
野球肘の再発を防ぐには、選手自身の意識と周囲のサポートが欠かせません。適切なケアとアドバイスを守り、長く野球を楽しむことができるよう、日々の努力を続けていきましょう。
まとめ
野球肘は、投球動作の繰り返しによって肘内側に痛みや違和感が生じるスポーツ障害です。その原因は肘への過度な負担であり、特に成長期の選手や不適切な投球フォームの選手はリスクが高くなります。
選手自身が野球肘について理解を深め、コーチや専門家と協力しながら日頃からのコンディショニングを心がけることが大切です。
良いパフォーマンスができるように、今回紹介したストレッチや筋トレを行いながら適切なケアとトレーニングを継続していきましょう。