肩が上がらない時のストレッチ:五十肩・四十肩の症状を和らげるコツ【理学療法士監修】
「肩が上がらない」ことで日常生活に支障をきたしていませんか?
「肩が上がらない」という症状は四十肩や五十肩とよばれるような肩の疾患に多く、以下のような動作が制限されやすいです。
- 痛くない方の肩に手が届かない
- 腰に手が回せない
- 後頭部に手が届かない
- 耳より上に肘が上がらない
このような症状が出た場合は肩の関節が硬くなってしまっていることが多く、1〜2日で改善することは難しい場合が多いです。
実際、病院を受診される患者さんからも「半年前からなんか痛くて・・・」「数か月前から痛かったけど、いつか治るかと思ってたら治らなかった・・・」といった声を聞くことは多々あります。そのため「いつか治るだろう」と先延ばしにするのではなく、すぐに行動に移すことが重要です。
この記事では、自宅でもできる具体的なストレッチ方法から注意点まで詳しく紹介します。肩の痛みやこわばりに悩んでいる方、特に日常生活に支障を感じている方にはおすすめです。今すぐこの記事を読み、紹介するストレッチを実践することで、少しでも症状が軽くなれば幸いです。
肩が上がらない原因と症状
肩が上がらない原因は様々ですが、一般的には五十肩や四十肩と呼ばれる「肩関節周囲炎」が主な要因です。これは肩関節周辺の炎症や拘縮によって肩の動きが制限される状態を指します。
五十肩は、特に50代以降の中高年に多く見られ、痛みや運動制限を伴います。症状としては以下のような症状が多く現れます。
- 肩を上げる際の強い痛み
- 夜間の痛み
- 肩関節のこわばりなど
これらの症状は、肩の可動域を制限し、日常生活に支障をきたすことがあるため、適切な対処法を知り、早期にケアを行うことが重要です。
また「肩が上がらない」その他の要因としては以下のような疾患も考えられます。
- 腱板断裂
- 変形性肩関節症
- 首由来の神経症状
- 内科疾患によるもの
- 肩自体に腫瘍があるなど
いずれにしても、まずは自己判断を行うのではなく、医師による診察を受けて原因を究明するようにしましょう。
肩が上がらない時の対処法とセルフケア
肩が上がらないときには、痛みの程度や症状の進行具合に応じた具体的なアプローチが必要です。
ここでは以下の3点について詳しく解説します。
- 五十肩・四十肩の各時期に適したストレッチと注意点
- 痛みが強いときの対処法
- 日常生活で気をつけたい動作と習慣
病状の進行を考慮せずにアプローチをしてしまうとより悪化する危険性があるため、ぜひ最後まで読んでください。
1. 五十肩・四十肩の各時期に適したストレッチと注意点
五十肩・四十肩は経過によって症状が変化する疾患です。具体的には以下のような変化をたどることが多いと言われています。
- 炎症期(発症〜2週間):痛みが強く動きが制限されやすい
- 拘縮期(〜6ヶ月程度):痛みは軽減してくるが、関節の硬さが顕著となる
- 回復期(発症6ヶ月〜):痛みや関節の硬さがとれてくる
そのため五十肩・四十肩は、症状の進行に応じて適した対応を行うことが重要で、ストレッチも病期ごとに変えていかなければなりません。
具体的には以下のようなことを意識して行っていきます。
- 炎症期:痛みの管理を中心に行い、ストレッチは無理しない程度に留める。
- 拘縮期:柔軟性を高めるストレッチを中心に行っていく。
- 回復期:可動域を広げるための積極的なストレッチや筋力トレーニングを行っていく。
各時期に応じた適切なストレッチを行い、無理なく進めることが大切です。もし痛みが強くなることがあれば、すぐに受診するようにしましょう。
2. 痛みが強い時の対処法
痛みが強くて肩が上がらない時は、まず痛みを和らげることが重要です。なぜなら近年の論文では、痛みが強い時期に無理をしてしまうと、後々の肩関節の状態がうまくいかない場合があると言われているためです。
参考論文)Diercks RL, Stevens M. Gentle thawing of the frozen shoulder: a prospective study of supervised neglect versus intensive physical therapy in seventy-seven patients with frozen shoulder syndrome followed up for two years. J Shoulder Elbow Surg. 2004 Sep-Oct;13(5):499-502. doi: 10.1016/j.jse.2004.03.002. PMID: 15383804.
痛みが強い時期の対処方法としては以下の4つがおすすめです。
- アイシング
- 適度な安静
- 痛みがない範囲の運動
- 寝るときのポジショニング
寝るときは以下のようなポジショニングを行うことで、夜間の痛みを減らすことができます。
https://minamikawa-hp.com/information/216
痛みが強いときに自己判断で対処方法を考えると悪化する可能性もあるため、まずは医師や専門家の意見を聞いてから行うようにしましょう。
3. 日常生活で気をつけたい動作と習慣
気をつけなければならないのはストレッチだけでなく、日常生活における動作も気を配る必要があります。具体的には以下のような行動は避けるようにしましょう。
- 力仕事や重いものを持つ
- 痛みを感じる角度での動作
- 重たいカバンを肩にかける
- 痛い方の肩を下にして寝るなど
その他にも肩に痛みを感じる動作を続けると、症状がより強くなる可能性があるため注意しましょう。
肩が上がらない時に自宅でできる肩のストレッチ
肩の痛みやこわばりを改善するには、自宅でのセルフケアが欠かせません。ここでは、症状に合わせた具体的なストレッチをご紹介します。
ストレッチは下記の点を意識して行うようにしましょう。
- 痛みに耐えられる範囲でゆっくりと動かしていく
- 無理せず徐々に可動域を広げていく
- 継続的に行うことで、筋肉の柔軟性が向上する
肩甲骨周りのストレッチ&体操
ポイント
気持ちいい範囲でゆっくりと行うクロスボディ(水平内転)ストレッチ(動画 00:17〜)
ポイント
- 心地よい範囲で行う
- 手首が肘よりも上がりすぎないようにする
スリーパーストレッチ
ポイント
肩の後ろが伸びる感じがない場合は、肘を置く位置をずらして、後ろ側が伸びる位置を探す肩が上がるようになったら負荷UP!トレーニングチューブを用いたエクササイズを紹介
肩の可動域が改善され、痛みが軽減してきたら、次のステップとしてトレーニングチューブを用いたエクササイズを取り入れてみましょう。
トレーニングチューブは、自重ではきかせにくい部分の筋力強化に効果的です。以下に、具体的なエクササイズ方法と注意点を紹介します。
肩関節
ポイント
- 痛みが出ない範囲でのトレーニングを行う
- 関節が硬いと「肩をすくめる」ような動きが出現しやすいため、正しいフォームで行う
肩甲骨周囲・背部
ポイント
- 痛みが出ない範囲でのトレーニングを行う
- 肩甲骨がしっかり動いていることを意識しながら行う
- 体幹がぶれないようにする
トレーニングチューブを使用するときの注意点
チューブを使用することで効果的な運動が行えますが、注意点が2つあります。
まず1つ目は自分の負荷にあったチューブを使用するという点です。ダンベルと一緒で、重すぎても軽すぎても効果的なトレーニングとはなりにくいので、可能であれば複数の硬さを試してみるとよいでしょう。
つぎに2つ目はチューブの破損に注意することです。常に素材も進化していますが、それでも時間の経過とともに劣化は免れません。トレーニングの前後にはチューブの状態をチェックするようにしましょう。
動画のなかでも紹介したVRTXバンドは、従来のトレーニングチューブの課題であったゴムの耐久性が改善されており、切れることはなく安全性が高いチューブです。そのため初心者でも安心して使用でき、快適なトレーニングが可能です。
米特許取得の新感覚素材を採用。切れにくく、肌に優しい。安全性と快適性を実現。
◉「VRTX BAND」の選ばれる理由- 肌触り良く、切れる心配なし: 米特許取得の新感覚素材を使用。切れにくく肌に優しい。ゴムチューブの劣化や肌への問題を解消し、トレーニング初心者でも安全かつ快適に利用可能。
- 使い勝手良いが7段階ループの形状: 引っ掛けやすいループ形状なので、ストレッチと筋トレ、両方活用可能。掴むところによって長さ・負荷を簡単に調整可能。
- トレーニング動画100本以上を公開: 各領域のトレーナーが使用方法を紹介する動画を100本以上公開中。筋力トレーニングに限らず、ストレッチや競技パフォーマンス向上にも活用可能。
また、VRTXバンドは7段階の強度(1キロから91キロまで)を提供しています。初心者の方でも適切な負荷でトレーニングができ、進捗に合わせて徐々に強度を上げることができます。
まとめ
肩が上がらない時のストレッチは、肩の可動域を広げ、痛みを軽減するために非常に重要です。
この記事では、肩が上がらない原因や症状について解説し、痛みが強い時の対処法や日常生活で気をつけるべき動作、そして自宅でできる肩甲骨まわりや肩関節のストレッチについて詳しく紹介しました。
肩が上がるようになったらトレーニングチューブを使ったエクササイズを取り入れて、さらに肩の筋力を強化することが推奨されます。
肩の不調に悩んでいる方は、まずは無理のない範囲でストレッチを始め、徐々に運動量を増やしていくことが大切です。
また、痛みが強い場合は専門家に相談することを忘れずに。この記事を参考に、適切なセルフケアを続けて、肩の健康を取り戻しましょう。