ベンチプレスのやり方をプロが解説!筋肥大に特化したフォームと8つのチェックポイント
上半身を逞しく鍛える種目として有名な「ベンチプレス」。分厚い胸板や大きな肩、太い上腕を作るうえで、ベンチプレスは欠かせません。しかし一方で、ベンチプレスをやっているのに筋肉がつかない、使用重量が上がらないなど、効果が出せていない人も多くいます。
ベンチプレスで効果を出すには、正しいやり方で行うことが絶対条件です。本記事では、ベンチプレスの正しいやり方や効果を高めるポイントを詳しく解説します。ぜひベンチプレスの正しいやり方をマスターし、ベンチプレスの素晴らしい効果を体感してください!
ベンチプレスで鍛えられる筋肉は?
ベンチプレスでは、上半身の大筋群トップ3「大胸筋」「三角筋」「上腕三頭筋」が鍛えられます。
よって、上半身を手っ取り早く逞しくしたいなら「ベンチプレス」を行うのが一番の近道です。それぞれの筋肉の特徴や鍛えるメリットを紹介します。
大胸筋(胸の筋肉)
ベンチプレスのメインターゲットとなる筋肉が「大胸筋」です。大胸筋は、ベンチプレスのような腕を前方へ押し出すプレス系の働き(肩関節水平内転)をします。
大胸筋が鍛えられると、胸板が厚くなり上半身が逞しくなってきます。また、女性の場合には、大胸筋によって乳房が押し上げられるため、バストアップに効果的です。
三角筋(肩の筋肉)
三角筋は「前部」「側部」「後部」の3つのパーツによって構成されています。このうち、ベンチプレスのような前方へのプレス動作で鍛えられるのが「前部」と「側部」です。
三角筋の前部が鍛えられると、上半身を正面から見たときに肩が大きく見えます。また、三角筋の側部が鍛えられると、肩幅が広がり上半身を逆三角形に見せるのに効果的です。
上腕三頭筋(上腕裏側の筋肉)
上腕三頭筋は上腕の3分の2を占める筋肉で、「長頭」と「短頭(外側頭・内側頭)」に分けられます。腕を下ろしたときに内側にあるのが「長頭」で、外側にあるのが「短頭」。このうち、ベンチプレスで主に鍛えられるのは「短頭」です。
上腕三頭筋の短頭が鍛えられると、横から見たときに腕の太さをさり気なくアピールできます。また、ボールを投げる力が増し、球速や遠投距離のアップにも効果的です。
筋肥大に特化したベンチプレスのやり方
それでは、ベンチプレスの正しいやり方を解説します。今回は、上半身の筋肥大に特化したやり方です。まずは、下の動画でベンチプレスの一連の動作を確認してください。
それでは、ベンチプレスのやり方を「スタート姿勢の作り方」「バーの下ろし方」「バーの押し上げ方」の3パートに分けて、詳しく見ていきましょう。
やり方➀「スタート姿勢の作り方」
- バーが目線の位置にくるようベンチに仰向けに寝る
- 両足は適度に開き、足裏をしっかりと床につけておく
- 胸を張り、背中のアーチを作りながらバーを握る
- この時、両肩を引いて肩甲骨を寄せるようにする
- バーの握り幅は、肩幅よりも一握り程度広く握る
- 姿勢を保持したままバーを押し上げ、ラックから外す
- バーを胸の上方に移動させ、腕を伸ばした状態で構える
- 動作中も、肩甲骨の寄せと背中のアーチを維持しておく
背中のアーチを上手く作れない場合には、下記のやり方を試してみてください。
- ベンチの上に両足を乗せて仰向けに寝る
- 両手でバーを握る(後で握り直すので手幅は適当でOK)
- ベンチの上に乗せた両足を踏ん張りお尻を浮かせ、体を大きくのけ反らせる
- 体をのけ反らすことで、ベンチに接している部位が、頭〜両肩と足裏だけになる
- この時、肩甲骨をしっかりと寄せておく
- 体を反らしたまま、片足ずつ床に下ろし、お尻もベンチにつける
- 姿勢を固めたら、バーをしっかりと握り直す
やり方②「バーの下ろし方」
- バーをラックから外したら、胸の上方で一旦静止させてから下降動作に入る
- 息を吸いながら腕を曲げ、ゆっくりとバーを垂直に下ろしていく
- 肩甲骨の寄せと背中のアーチを維持したまま下ろす
- バーが胸に触れるまで下ろす(無理な場合は下ろせる深さまで)
- 下ろす位置は、深呼吸をして胸が一番高くなった位置からほんの少し上
- バーを下ろしたとき、脇は適度に開いた状態となる
バーを下ろす位置は上記5を基本としたうえで、「乳首よりもほんの少し上」から「みぞおち辺り」までの範囲内で、下ろしやすい位置に下ろしてください。
やり方③「バーの押し上げ方」
- 息を吐きながら腕を伸ばし、バーを垂直に押し上げていく
- 押し上げるときは、力をセーブしようとせずに一気に押し上げる
- 足裏全体で床を押し、下半身のエネルギーも利用する
- 肩甲骨の寄せと背中のアーチを維持したまま押し上げる
- 押し上げる高さは、肘が伸び切る一歩手前まで
【アドバイス】
上級者が高重量に挑戦する場合には「無呼吸リフト」で行う方が、腹圧が高まり体幹が安定するため、高重量を挙上しやすくなります。具体的なやり方は下記の通り。
- バーを下ろしながら息を吸い込む
- バーを下ろしたら息を止める
- 息を止めたままバーを押し上げる
- バーを押し上げた後で息を吐く
ベンチプレスを行う際の8つのチェックポイント
ベンチプレスの一連の動作方法がわかったところで、ベンチプレスの効果を高めるうえで重要となるチェックポイントについて解説します。具体的には下記の8つです。
1.大胸筋をしっかりと伸展・収縮させる
ベンチプレスの効果を高めるには、大胸筋の「伸展」と「収縮」を連続的に引き起こさなければなりません。しっかりと伸展・収縮させることで、筋内圧が持続的に高まり血流が制限されるため、強いパンプアップが起こり筋肥大させやすいのです。
大胸筋をしっかりと伸展・収縮させるには、先述しました通り、肩甲骨の寄せと背中のアーチを維持したまま動作することが大切です。
肩甲骨の寄せと背中のアーチを維持したまま動作すると、バーの下降に伴い大胸筋の伸展が強まり、バーが胸に触れる位置で「最大伸展」した状態になります。また、バーの上昇に伴い大胸筋の収縮が強まり、トップの位置で「最大収縮」した状態になるのです。
2. 肩を前に出さない
バーを押し上げるときに、肩甲骨が開き肩が前に出てしまうと、大胸筋が使われにくくなり、肩・腕だけの運動になってしまいます。また、肩が不安定な状態で無理な負荷がかかるため、肩を痛めやすくなってしまうので注意してください。
肩を前に出さないようにするには、スタート姿勢を作る際に、胸を張って肩甲骨を寄せたら、肩はその位置に固定し動かさないようにしましょう。
3.手首を立ててバーを握る
バーを握る際には、手首を立てた状態で握るようにします。手首を立てることによって、バーベルの負荷が大胸筋に対して垂直にかかるようになり、大胸筋を的確に刺激できるのです。小指、薬指と順に人差し指まで巻き付けてしっかり握り、最後に親指に力を入れながら握るようにすると、手首を立てやすくなります。
手首を倒して握ってしまうと、負荷が大胸筋にかかりにくくなるばかりでなく、手首に無理な負荷がかかり、怪我のリスクが高まってしまうので注意してください。
4.お尻はベンチにつけておく
お尻を浮かしてバーを押し上げるようにすると、腰への負担が大きくなり、腰痛のリスクが高くなります。上級者用のテクニックとして、意図的にお尻を浮かせるやり方もありますが、初心者には不向きであり、お尻をベンチにつけたフォームで行うのが基本です。
使用重量が重すぎるとお尻が浮きがちになるので、どうしてもお尻が浮いてしまう場合には、使用重量を少し軽くして行ってください。初心者の方は、重さよりもフォームの正確さを重視した方が、大胸筋の稼働率が高まり効果的です。
5.頭の位置を動かさない
頭部には体のバランスを保つ機能があるため、動作中に頭が動いてしまうと、フォームが不安定となり、肩や肘を痛めやすくなるので注意してください。頭の位置を固定した状態で行うことで、体の軸をブラさずに動作ができ、安定したフォームで鍛えられるのです。
目線を常にバーベルシャフトの中心部に置き、バーを上げ下ろしする最中も、常に目を離さないようにすると、頭の位置を固定しやすくなります。
6.バーが胸に触れた状態をキープしない
バーが胸に触れた状態をキープすると効果が高まると思っている人が多いようですが、大きな間違いです。ボトムでキープすると大胸筋のストレッチは強まります。しかし、強くストレッチされた状態で大きな負荷を受け続けてはいけません。強くストレッチされた状態では大胸筋が力を発揮しにくいため、関節や腱に大きな負担がかかってしまうからです。
ベンチプレスを安全に行うには、関節や腱への負担を最小限に抑えなければなりません。そのためには、ボトムからの素早い切り返しが必要であり、バーが胸に触れたら直ぐに押し上げ動作に入るようにしてください。
7.胸の上でバウンドさせない
バーを押し上げるときに、胸の上でバーをバウンドさせて押し上げている人が多いですが、非常に危険な行為なので注意してください。
胸の上でバーをバウンドさせると、それまで緊張状態にあった大胸筋が一瞬ゆるみます。そして、大胸筋がゆるんだ直後に突然大きな負荷がかかると、筋肉を痛めやすくなるのです。筋断裂を引き起こす原因にもなります。
ベンチプレスを安全に行うには、大胸筋の緊張を維持したまま動作することが大切です。そのためには、胸の上でバーをバウンドさせずに切り返し、押し上げ動作に移ってください。
8.セーフティースタンドを必ず使用する
ベンチプレスを一人で行う際には、必ずセーフティースタンドを使用してください。セーフティースタンドとは、胸上へのバーの落下を防ぐための補助器具です。セーフティースタンド付きのベンチプレス台もありますし、セーフティースタンドのみの購入もできます。
セーフティースタンドを用いずにベンチプレスを行っていて、大きな事故につながったケースが数多く報告されていますので、注意してください。
ベンチプレスの筋肥大用プログラム例
初心者用・上級者用に分けて、ベンチプレスの筋肥大用プログラム例を紹介します。プログラム作成のポイントは、頻度・使用重量・回数・セット数です。ぜひ自分に合ったプログラムを作成し、ベンチプレスの効果を高めてください。
ベンチプレスの初心者用プログラム例
初心者の方は、最大筋力の80%の負荷(6〜10回反復できる重量)を用い、2〜3日おきに週2回トレーニングすると効果的です。セットの組み方は下記を参考にしてください。
- 1セット目 : 最大筋力の50%×15~20回(ウォームアップ)
- 2セット目 : 最大筋力の70%×8~12回(ウォームアップ)
- 3セット目 : 最大筋力の80%×6~10回(限界数)
- 4セット目 : 最大筋力の80%×6~10回(限界数)
- 5セット目 : 最大筋力の80%×6~10回(限界数)
※セット間のインターバルは3分以内を目安としてください。
※2セット目まではウォームアップとし、余力を残して終わらせます。
※3〜4セット目は6〜10回が限界となる重量で行います。
※4セット目以降は重量を落としてもいいので6〜10回を維持。
※体力に応じて5セット目はカットしてもOKです。
ベンチプレスの上級者用プログラム例
上級者の方は、最大筋力の90%の負荷(3〜5回反復できる重量)で行うセットを組み込むことで、より強度の高いトレーニングが可能です。頻度は2〜3日おきに週2回が目安。セットの組み方は下記を参考にしてください。
- 1セット目 : 最大筋力の50%×15~20回(ウォームアップ)
- 2セット目 : 最大筋力の70%×8~12回(ウォームアップ)
- 3セット目 : 最大筋力の90%×3~5回(限界数)
- 4セット目 : 最大筋力の80%×6~10回(限界数)
- 5セット目 : 最大筋力の80%×6~10回(限界数)
※セット間のインターバルは3分以内を目安としてください。
※2セット目まではウォームアップとし、余力を残して終わらせます。
※3セット目は筋力向上用のセットとし、3〜5回が限界となる重量で行います。
※4〜5セット目は筋肥大用のセットとし、6〜10回が限界となる重量で行います。
※5セット目は重量を落としてもいいので6〜10回を維持。
※必要に応じて、ウォームアップセットを増やしてください。
ベンチプレスと同様の効果が期待できるトレーニングチューブ
トレーニングチューブを使用すれば、ベンチやバーベルがなくても、ベンチプレスと同様の効果が期待できます。たとえば、立ったまま(座ったまま)で胸の前方へのプレス動作が可能となり、大胸筋や三角筋、上腕三頭筋を同時に鍛えられるのです。
トレーニングチューブとは、ゴムの張力を利用して負荷をかける運動器具です。初動では負荷が小さく、チューブを伸ばすに従って少しずつ負荷が大きくなるため、女性や高齢者の方でも無理なく筋肉を強化できます。ベンチプレスが難しそうと思っている方は、ぜひトレーニングチューブを利用して、ベンチプレスと同様の効果を狙ってください。
安全性・快適性に優れたトレーニングチューブを選ぼう!
トレーニングチューブには注意すべき点もあります。トレーニングチューブはゴム素材の製品が多いため、劣化すると切れる可能性があるのです。使用中に突然切れた場合、ケガにつながる危険性もあるので注意しなければなりません。
劣化による断裂を防ぎ、安全に筋トレをしたい方には「VRTXバンド」がおすすめです。VRTXバンドは米国特許取得の新感覚素材を採用しているため、断裂の心配がありません。また、肌触りや負荷のかかり方が非常に滑らかであり、快適な使い心地が得られます。
米特許取得の新感覚素材を採用。日本グッドデザイン受賞。切れにくく、肌に優しい。安全性と快適性を実現。
◉「VRTX BAND」の選ばれる理由- 肌触り良く、切れる心配なし: 米特許取得の新感覚素材を使用。切れにくく肌に優しい。ゴムチューブの劣化や肌への問題を解消し、トレーニング初心者でも安全かつ快適に利用可能。
- 幅広い強度バリエーション: 7段階の強度設定。1kgから91kgの負荷調整可能。初心者から上級者、老若男女を問わず、種目に応じてバンドを使い分け、多彩なトレーニングが実現。
- トレーニング動画100本以上を公開: 各領域のトレーナーが使用方法を紹介する動画を100本以上公開中。筋力トレーニングに限らず、ストレッチや競技パフォーマンス向上にも活用可能。
さらには、バンドの強度が7段階(1〜91kg)に分かれているため、自分にピッタリの強度が必ず見つかり、無理なくトレーニング効果を高められるでしょう。
ベンチプレスの代わりとなるVRTXバンドの種目
それでは、ベンチプレスと同様の効果が期待できるVRTXバンドの種目を紹介します。具体的には下記の2種目がおすすめです。種目ごとに、初心者・中級者・上級者用のおすすめ強度も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
VRTXバンドの種目➀「腕立て伏せ」
【ポイント】
- 大胸筋を中心に、肩まわりと上腕三頭筋を鍛えられる
- お尻が上がったり下がったりしないように注意する
- ゆっくり体を沈め、力強く押し上げる
- 腕を伸ばした状態で2〜3秒キープすると効果が高まる
- 10〜15回×2〜3セットを目安に行う
- 初心者(トレーニング経験3ヶ月未満)
- 男性 : 0番「ZERO」~1番「X-LIGHT」
- 女性 : 00番「DOUBLE ZERO」~0番「ZERO」
- 中級者(トレーニング経験3ヶ月以上)
- 男性 : 2番「LIGHT」~3番「MEDIUM」
- 女性 : 1番「X-LIGHT」~2番「LIGHT」
- 上級者(トレーニング経験6ヶ月以上)
- 男性 : 3番「MEDIUM」~4番「HEAVY」
- 女性 : 2番「LIGHT」~3番「MEDIUM」
VRTXバンドの種目②「チェストプレス」
【ポイント】
- 大胸筋を中心に、肩まわりと上腕三頭筋を鍛えられる
- 胸を張り、背中が丸まらないように注意する
- ゆっくり腕を曲げ、力強く伸ばす
- 腕を伸ばした状態で2〜3秒キープすると効果が高まる
- 10〜15回×2〜3セットを目安に行う
- 初心者(トレーニング経験3ヶ月未満)
- 男性 : 1番「X-LIGHT」~2番「LIGHT」
- 女性 : 0番「ZERO」~1番「X-LIGHT」
- 中級者(トレーニング経験3ヶ月以上)
- 男性 : 3番「MEDIUM」~4番「HEAVY」
- 女性 : 2番「LIGHT」~3番「MEDIUM」
- 上級者(トレーニング経験6ヶ月以上)
- 男性 : 4番「HEAVY」~5番「X-HEAVY」
- 女性 : 3番「MEDIUM」~4番「HEAVY」
まとめ
ベンチプレスを行うと、大胸筋・三角筋・上腕三頭筋が鍛えられ、上半身が逞しくなってきます。ただし、ベンチプレスの効果を高めるには、正しいやり方を実践しなければなりません。やり方が間違っていると、効果が出ないばかりか怪我のリスクも高まるのです。
ベンチプレスを正しいやり方で実践すれば、筋肉は必ず期待に応えてくれます。ベンチプレスは手っ取り早く上半身を逞しくするのに一番良い種目です。ぜひ本記事で紹介したやり方でベンチプレスを安全に行い、Tシャツの似合うカッコいい体を手に入れてください。