【理学療法士監修】高齢者のためのゴムチューブの使い方を紹介|リハビリの方法や注意点を解説
ゴムチューブは高齢者でも安全・簡単に負荷をかけたトレーニングができます。そのため、効果的な使い方を理解して活用することが大切です。
高齢者は加齢にともなって筋肉量が減少する「サルコペニア」といった現象が生じます。その結果、転倒や病気を引き起こしやすくなり、介護が必要な状態になるリスクが高まるのです。
この記事では、高齢者のリハビリにおけるゴムチューブの使い方やメリットを紹介します。ゴムチューブを使ったトレーニング方法を理解して、いつまでも健康的な生活が送れる体を作りましょう。
高齢者のリハビリやトレーニンにゴムチューブを使う5つのメリット
高齢者のリハビリやトレーニングでゴムチューブを使うメリットは以下の5つです。
- 負荷の調整が簡単にできる
- リハビリの場所を選ばない
- 高齢者でも安全に運動できる
- 1本でさまざまな部位の運動ができる
- 運動の姿勢を選ばない
具体的なメリットを理解して、ゴムチューブを効果的に使いましょう。
1.負荷の調整が簡単にできる
ゴムチューブは色によって固さが異なります。そのため、種類を変えれば簡単に負荷を調整可能です。また、同じバンドでも二重に巻いたり、短く持ったりすると負荷を強くできます。ダンベルのように、重いものを複数用意する必要がありません。
高齢者は体調や病気によって筋力が低下しやすいため、気軽に調整できるのは大きなメリットです。
2.リハビリの場所を選ばない
ゴムチューブは持ち運びが簡単で、どのような場所でも負荷をかけた運動が可能です。小さく折りたためるため、自宅でも収納に困りません。
リハビリで負荷をかけた運動をする場合、ダンベルやマシンでの運動が挙げられます。どちらも、運動場所は屋内に限られ、収納にもスペースが必要です。
ゴムチューブを活用すれば、屋外で日光浴をしながらの、筋力向上のリハビリもできるでしょう。
3.高齢者でも安全に運動できる
高齢者のリハビリでは転倒などで怪我のリスクが高まります。ゴムチューブは重さも軽く、マシンのように乗り降りも必要がないため、安全に運動が可能です。
ダンベルであれば体の上に落としたときに怪我をするリスクがあります。また、マシンは乗り降りのときの転倒や誤った使用方法での怪我の可能性がある。
負荷はかけたいけど、怪我のリスクを少なくしたい場合に、ゴムチューブはぴったりのリハビリ器具です。
4.1本でさまざまな部位の運動ができる
1本あれば使い方次第で腕や脚、体幹やお尻などさまざまな部位のトレーニングができます。
効果的なトレーニングの原理として、「特異性の原則」があります。特異性の原理は負荷をかけた部位に対応した体の部分に効果があるという原理です。
例えば、腹筋に負荷をかければお腹が鍛えられ、太ももに負荷をかければ太ももが鍛えられます。
ゴムチューブがこの原理に対応するために、複数の器具を必要としません。負荷をかけた部位に簡単な例を提示して、具体的な運動方法を後ほど解説するよう誘導する。
5.運動の姿勢を選ばない
ゴムチューブは立つ、座る、寝るといった、さまざまな姿勢で運動が可能です。自分に合った無理のない姿勢で運動をしましょう。
また、高齢者では病気や障害の影響で特定の姿勢しか取れない場合があります。運動の姿勢を選ばないゴムチューブは、どのような状態の方でも活用できます。
【高齢者向け】ゴムチューブを使ったリハビリ・トレーニングの方法
ゴムチューブを使ったリハビリ方法として、高齢者でも負担の少ない筋力トレーニングを紹介します。
上半身、下半身、体幹と部位別に紹介するので、筋力低下が気になる部位の運動から始めましょう。
上半身のトレーニング(チェストプレス)
胸や腕を伸ばす筋肉を鍛える運動です。起き上がったり、立ち上がったりするときに、体重を支える力になります。 椅子に座ったり、立ったり、仰向けに寝たままでも実施できます。
チェストプレス
- 両手でゴムチューブを握る
- 肩甲骨の裏にゴムチューブが来るようにする
- 両肘を直角に曲げて、ゴムチューブと肘、手が一直線になるようにする
- 5秒数えながら両肘を伸ばし、5秒数えながら両肘を曲げる動作を繰り返す
上半身のトレーニング(アームカール)
アームカールは二の腕を鍛える運動です。買い物などでものを持つなど、腕を使うさまざまな動作で必要になります。肘を伸ばしたときの張力を調整すれば、簡単に負荷の調整ができます。
アームカール
- 両足を肩幅に開いてゴムチューブを踏む
- 両手も肩幅にしてゴムチューブを握る
- 5秒数えながら両肘を曲げて、5秒数えながら両肘を伸ばす動作を繰り返す
下半身のトレーニング(キッキング)
脚全体を伸ばしたり、曲げたりして、お尻や太ももといった幅広い筋肉が鍛えられる運動です。仰向けに寝たままでも行えるため、病院など入院中で起きられない場合でも、下肢のトレーニングができます。
キッキング
- 左脚を伸ばした状態にする
- ゴムチューブを左足の裏にひっかける
- 両手でゴムチューブを握る
- ゴムチューブを両手で引っ張る
- 左脚を5秒数えながら曲げて、5秒数えながら伸ばす動作を繰り返す
- 右側も同様に行う
下半身のトレーニング(腸腰筋トレーニング)
足をあげたり、姿勢を保ったりするために必要な腸腰筋(ちょうようきん)を鍛える運動です。椅子に座って行うため、できるだけ背もたれから背中を離して、背中を伸ばすと体幹も鍛えられます。
腸腰筋トレーニング
- 椅子に座る
- 左の太ももにゴムチューブを巻く
- 右足でゴムチューブを踏む
- 左の太ももを5秒数えながら上げて、5秒数えながら下ろす動作を繰り返す
- 右側も同様に行う
体幹のトレーニング(シーテッドロー)
背中を鍛えて姿勢をよくする運動です。肩甲骨を引き寄せたり、戻したりするため、肩周りの動きを保つリハビリにもなります。
椅子や机などは動かないように重さのあるものを選びましょう。肩甲骨の動きを引き出すため、背中が丸くならないように注意しましょう。
シーテッドロー
- 椅子や机などにゴムチューブを引っかける
- 両手を肩幅に開くゴムチューブを握る
- 手を前ならえのように伸ばした状態にする
- 両方の肩甲骨を寄せるように5秒かけて両肘を曲げる
- 5秒かけて元の状態に戻す動作を繰り返す
高齢者のチューブトレーニングには「VRTXバンド」がおすすめ
ゴムチューブは劣化し切れる可能性があり、切れると怪我の危険性があります。特に年配の方は注意が必要です。
VRTXバンドは米国特許取得の新感覚素材を使用し、切れにくく肌に優しい素材を採用しています。これにより、ゴムチューブに関する問題を解決しました。初心者でも安心して使用でき、快適なトレーニング体験が可能です。
さらに、7段階の強度設定があります。年配の方でも適切な負荷でトレーニングでき、進捗に合わせて徐々に強度を上げることができます。
米特許取得の新感覚素材を採用。日本グッドデザイン受賞。切れにくく、肌に優しい。安全性と快適性を実現。
◉「VRTX BAND」の選ばれる理由- 肌触り良く、切れる心配なし: 米特許取得の新感覚素材を使用。切れにくく肌に優しい。ゴムチューブの劣化や肌への問題を解消し、トレーニング初心者でも安全かつ快適に利用可能。
- 幅広い強度バリエーション: 7段階の強度設定。1kgから91kgの負荷調整可能。初心者から上級者、老若男女を問わず、種目に応じてバンドを使い分け、多彩なトレーニングが実現。
- トレーニング動画100本以上を公開: 各領域のトレーナーが使用方法を紹介する動画を100本以上公開中。筋力トレーニングに限らず、ストレッチや競技パフォーマンス向上にも活用可能。
高齢者がゴムチューブでリハビリを行う場合の注意点
高齢者がゴムチューブを使う場合に気を付けるポイントを解説します。安全かつ効果的なリハビリを行うために重要ですので、しっかり理解しましょう。
1. 適切な運動負荷をかける
トレーニングの原理として、「過負荷(かふか)の原理」があります。軽い運動負荷では効果が低く、効果を高めるためには適度な負荷が必要です。
高齢者では中等度以上の負荷が推奨されています。10回〜15回の反復で重さの限界を感じる負荷量で実施しましょう。
2. 既往のある方は医師などの指示を仰ぐ
骨粗鬆症や心疾患など既往のある方は、運動負荷の調整が必要です。無理な負荷は怪我を招いたり、病気を悪化させたりする可能性があります。
疾患の治療を受けている医師にゴムチューブでの運動について指示を仰ぎましょう。
3. 回数を数えながら取り組む
運動時に息をこらえると血圧上昇を引き起こすため、高齢者にとって安全とはいえません。「いち、に、さん…」と運動回数などを数えながら取り組むと、呼吸を止めないで運動が可能です。
4. 運動を継続する
運動は継続することで効果が持続します。ZechやYasudaらの研究では、負荷をかけた運動を12週間実施したあと24週間運動を休んだ場合、24週間後には運動によって得た筋力や筋肉量がほぼなくなってしまうと示されています。
ゴムチューブは気軽に運動が取り組めるので、できる限り運動を継続するよう心がけましょう。
5. 良い姿勢で取り組む
高齢になると背中が丸くなる姿勢になりやすいです。座った運動では、しっかり背筋を伸ばすよう意識しましょう。
姿勢をよくして運動すれば、体幹のトレーニングにもなります。座ってゴムチューブを使う場合は、背中が丸くなりやすいので注意しましょう。
6. 痛みが出たら中止する
運動時に痛みがともなう場合は、無理をせず中止しましょう。ゴムチューブの負荷が強すぎる場合があるので、負荷の量を軽くして様子をみましょう。
痛みがあるのに無理をして運動をする必要はありません。運動をする前に、早めに整形外科に受診しましょう。
- 適切な運動負荷をかける
- 既往のある方は医師などの指示を仰ぐ
- 回数を数えながら取り組む
- 運動を継続する
- 良い姿勢で取り組む
- 痛みが出たら中止する
まとめ|ゴムチューブの使い方を知れば高齢者のリハビリが安全かつ簡単にできる
ゴムチューブは高齢者でも安全に負荷のかけたリハビリができます。使い方も簡単で、場所も選びません。注意点を守って使用すれば、誰でも効果的なリハビリが実施できます。
本記事を参考にすれば、ゴムチューブの正しい使い方や具体的なトレーニングの方法の習得が可能です。
高齢になっても自分らしい生活を送るために、ゴムチューブを活用して、楽しいトレーニングを続けましょう。