コラム

硬くなりがちな股関節をアクティブに動かすストレッチのやり方とは

立って歩くことから正しい姿勢で座ることに到るまで、股関節は人間のありとあらゆる動作と安定性に重要な役割を担っています。困ったことに、その股関節に問題を抱える人は少なくありません。

ただでさえ、現代人のライフスタイルは運動不足になりがち。

長時間同じ姿勢で座り続ける人はとくに、股関節が硬くなっていないか要注意です。気がついたときには、腰の痛みを感じることや日常的動作に支障をきたすことにもなりかねません。

この記事では、まず股関節が硬くなる原因を探り、その柔軟性を高めることのメリットを挙げ、そして代表的なストレッチの方法を説明します。最後に、トレーニングチューブを活用して股関節の柔軟性と可動域を改善する方法を紹介します。

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この記事を監修した人
角谷剛
VRTX編集部 | ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト

この記事を監修した人
角谷剛|ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト

米国カリフォルニア州に長く在住しています。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、高校で陸上長距離走と野球の部活指導員を務めています。

股関節はなぜ硬くなる?

股関節が硬くなる理由は数多くありますが、一般的に考えられる要因は以下の通りです。

1.運動不足

同じ姿勢で長く座っていると、股関節屈筋(股関節の前部にある筋肉)がまず硬くなります。その時間が長くなるにつれて、関節の可動域が狭まり、硬直につながります。

股関節屈筋

2.筋肉バランスの不均衡

関節を曲げたり伸ばしたりする動作において、主動作筋と反対の動きをする筋肉を拮抗筋と呼び、両者はペアで働きます。股関節屈筋の場合はお尻や太股の裏側にある筋肉(ハムストリングス)が拮抗筋です。

そのどちらかの筋力が極端に弱いと、可動域が制限されてしまいます。

臀部及びハムストリングス

3.加齢

股関節付近に限りませんが、加齢に伴って筋肉の弾力性は低下していきます。

4.故障または疲労

過去に故障歴がある人や、使い過ぎによる慢性的疲労に陥っている人は、筋肉に炎症が起きていることや、筋肉組織が傷ついていることが多くあります。

股関節の柔軟性を高めるメリット

股関節の柔軟性を高めることは、動作を最適化し、全身の健康を保つことにつながります。そのメリットをいくつか挙げてみます(すべてではありません)。

1.可動域の向上

股関節の動きは日常的な動作(歩く、しゃがむ、座る、など)に深く関わっています。股関節を柔らかくすることで可動域が広がり、それらすべての動作が楽になります。

2.腰の痛みや不快感の低減

股関節周りにある筋肉の緊張をほぐすことで、背中、腰、膝の痛みや不快感を軽減します。

3.運動パフォーマンスの向上

股関節の働きは、走る、跳ぶといったスポーツの動作にも大きな役割を担っています。その柔軟性と可動域を高めることは、動作をスムーズにし、また故障の予防にもつながります。

4.姿勢の矯正

股関節が硬いと腰が曲がりがちになります。股関節の柔軟性は腰を支え、姿勢を良くすることにもつながります。

自宅でもできる簡単な股関節ストレッチ5選

 股関節の柔軟性と可動域を高めるうえで、日常的にストレッチを行う習慣を身につけることは非常に有効です。股関節に効く、代表的なストレッチ種目を5つ紹介します。

 いずれも簡単にできるものばかりで、5つすべてを行っても10分以内で終わるでしょう。1回にかかる時間は短くても、毎日のように継続することが何よりも大切です。

 すべてのストレッチ種目に共通する注意点は無理をしないことです。限界に挑む必要はまったくありません。あくまでも、自然に伸びる、あるいは曲がるところまでの姿勢を、30~60秒間くらい維持することが目安です。常に呼吸を止めないことにも注意してください。

ランジ・ストレッチ

主に股関節屈筋をターゲットにしたストレッチです。長時間座ることが多い人にはとくに有効です。

ポイント

  1. 右脚の膝を直角に曲げ、左脚を後ろに伸ばし、左膝を床に着けます(ランジの姿勢)。
  2. 体重を前方に移動させ、腰を床に向かって沈めます。
  3. 30秒間姿勢を維持します。
  4. 脚を入れ替えて同じ動作を行います。 
フィギィア4

腰や背中に痛みや不快感がある人に適したストレッチです。

ポイント

  1. 仰向けに横たわり、右脚の足首を左脚の膝の前にかけます。
  2. 両手で左足の太股を掴み、ゆっくりと胸に引き寄せます。
  3. 30秒間姿勢を維持します。
  4. 脚を入れ替えて同じ動作を行います。
ピジョン・ポーズ

ヨガのポーズを取り入れたストレッチです。腰とお尻の筋肉の内部深くにまで効き、周辺の痛みを和らげる効果があります。

ポイント

  1. 両手を床に置き、腕立て伏せを伸ばした姿勢になります。
  2. 右脚の膝を前方に動かし、右手のそばに膝の外側を床につけ、左手に向けて直角に曲げます。
  3. 左脚を後ろに伸ばします。
  4. 腰を床に沈めて、30秒間姿勢を維持します。
  5. 脚を入れ替えて同じ動作を行います。
バタフライ・ストレッチ

腰と太股内側の筋肉をほぐす効果があるストレッチです。

ポイント

  1. 床に座り、両足の裏を中央で合わせて、膝を外側に開きます。
  2. 両手で足首を掴みます。
  3. 30秒間姿勢を維持します。
開脚

太股全体の柔軟性を高めるストレッチです。

ポイント

  1. 両脚を左右に広げて座ります。
  2. 両手を前に置き、体を腰から前方へ倒します。
  3. 30秒間姿勢を維持します。

トレーニングチューブを活用した股関節ストレッチ

トレーニングチューブは様々な用途に利用できます。もちろん股関節のストレッチにも非常に効果的です。

チューブの抵抗を利用することで、より深く、狙った部分の柔軟性を高めることができるからです。それと同時に、筋力を向上させるメリットも見逃せません。例として以下のストレッチ種目を試してください。

尚、ストレッチは静的ストレッチと動的ストレッチに大別されます。

上に挙げた5つのストレッチは静的ストレッチにあたります。これから紹介する3つは動的ストレッチに分類されます。

動的とはいえ、急激な動きは必要ありません。とくにトレーニングチューブを用いる際は、抵抗を感じながらのゆっくりとした動きを心がけてください。反動は使いません。そちらの方がストレッチ効果は上がります。

ランジ・ストレッチ

ポイント

  1. チューブをスクワット用ラックやポールなどの安定したものに巻き、反対側に右脚を入れ、脚の付け根あたりに巻きます。
  2. 右膝(チューブを巻いた側)を床に着け、左脚を前に出して、ランジの姿勢になります。
  3. チューブの抵抗を感じながら、前後にゆっくりと体重を移動させます。
  4. 30秒間ほど3の動作を繰り返します。
  5. 脚を入れ替えて、同じ動作を行います。

 レッグ・レイズ

ポイント

  1. 床に横向きになり、両膝のすぐ上あたりにチューブを巻きます。
  2. 上の脚を床と平行になるくらいの高さまでゆっくりと上下させます。
  3. 10〜15回ほど、2の動作を繰り返します。
  4. 脚を入れ替えて、同じ動作を行います。

グルート・ブリッジ

ポイント

  1. チューブを両膝のすぐ上あたりに巻きます。
  2. 床に仰向けになり、両膝を曲げ、足の裏全面を床につけます。
  3. ゆっくりとお尻を浮かし、肩から膝までを一直線になるまで上げます。
  4. ゆっくりとお尻を床に下ろし、この動作を10〜15回程度繰り返します。
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まとめ

股関節が硬くなると痛みや不快感が増え、多くの動作に困難を覚えるようになります。

股関節の柔軟性と可動域を高めることは、アスリートにとっては、競技パフォーマンスを上げ、故障を未然に防ぐうえで非常に大切です。アスリートではなくても、日常的動作が楽になり、姿勢が良くなるといったメリットがあります。

日常的なストレッチは何歳になっても柔軟性を高める効果があります。トレーニングチューブはその効果をさらに大きくすることに役立つツールです。

大切なことは無理をしないこと、そして継続することです。

 

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